シングルマザーが遺したい子供への保障・想いを叶える最善な方法
2022.03.01
東京都にお住まいの30~40代くらいの女性がご相談に来られました。
離婚していて今は息子さんと二人で暮らしているそうです。
もし自分に万が一のことがあった場合の息子さんの生活について心配されていました。
今後のためにどのように準備をしていけばいいのか、NISAやiDeCoなど資産運用に興味をお持ちのようです。
自分がもしもの場合、息子さんの面倒はご相談者の妹さんにお願いをしたいということで、妹さんにも了解を得ているとのことでした。
生命保険信託
さらに詳しく話を聞いていくと、最近訪れた保険会社の担当者に生命保険信託をすすめられていたことがわかりました。
生命保険信託を活用すると相談者の方が亡くなった場合に生命保険金を息子さんへ指定した期間と金額を渡すことができます。つまり、遺産を一括ではなく分割で渡すことができるということです。
何の対策もしないと相続財産として一括で渡すことになりますので、受け取った遺産をそのまま使い込んでしまうリスクがあります。
こちらを利用することで一見そのリスクを回避できるように思えます。
ただしここで一つ問題があります。
相談者の方に万一の事態が起こった時に息子さんが未成年者であった場合、親権者が元夫になる可能性があります。
親権者はこの財産の管理を行う権利がありますので、息子さんのために遺した遺産を元夫につかいこまれてしまうという相談者が望んでいない事態にもなりかねません。
家族信託
そこで生命保険信託ではなく、家族信託のほうがいいのではないかということをご提案しました。
家族信託とは、財産をまかされた家族が柔軟に財産の管理が行えるように信託法で定められた制度です。
相談者が妹さんに息子さんのために財産の管理・処分が行える権利を行使できるように定めておくことができます。
生命保険信託よりも柔軟に相談者の方の希望に対応することができます。
遺言という方法もありますが、遺言では遺産を分割して息子さんに渡すということはできませんし、管理の方法を指定することもできません。
以上の理由から家族信託が最善の方法なのではないかということをお伝えしました。
保険会社の担当者からは家族信託は生命保険信託よりも利用する費用が高いからやめたほうがいいということをいわれていたそうです。
家族信託が生命保険信託よりも費用が高いことは事実です。
だとしても、相談者の方の「息子さんへの遺産を妹さんに管理してもらいたい」という想いをかなえるために、家族信託のほうが適していると思われます。
問題解決にむけて本当に必要な事
相談者の女性はこの提案に納得され、家族信託の選択を決意されました。
家族信託の経験がある司法書士の方を紹介することになりました。
この女性がこれからのリスクに備えて万全な準備をするためにまず必要だったのは、NISAやiDeCoなどの資産運用よりも、生命保険信託でもなく、家族信託だったのです。
今回のケースのように、保険や証券など金融商品の知識だけではお客様の不安を解決できない場合があります。
その方にとって真に必要な方法、最善な方法は、相談者の方の話をよくよく聞いてみなければわからないのです。